2019.04.08

高断熱を基本性能とした住宅技術の研究開発
その2~換気について考える①

おかげさまで創業54年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。

皆様、こんにちは。RCギャラリー西宮スタッフの 市中です。

前回のブログで紹介しました一般社団法人新住協(新木造住宅技術研究協議会)の
第2回目の研修会が4月4日に開催されました。

今回のテーマは「換気について考える」です。

講師は換気システムの専門メーカー 
日本住環境 
エディフィス省エネテック
パナソニック
の3社で行われました。

まずは換気の基本です。

換気新住協研修会「換気について考える」①

換気新住協研修会「換気について考える」②

換気新住協研修会「換気について考える」③

換気には3種類の手法がありますが、戸建住宅では第1種及び第3種換気が主流です。

第1種換気の特徴パナソニック ダクト式熱交換第1種換気システム エアテクト
・給気排気共に機械換気で熱交換気ユニットからダクトを通じて給気・排気を行う。
・熱交換気ユニットで温度・湿度をコントロール出来る。外部からの湿気や臭気や音の侵入を低減出来る。
・外壁の貫通が必要最小限の給気口、排気口のみで外観もスッキリと納まる。
・給気・排気共に機械換気の為、イニシャル・ランニングコスト共に高価である。
・給気・排気共に天井裏にダクトを通す為、経路の綿密な計画が必要。一部天井高さの調整が必要になる。
・空気が熱交換された時に臭気等が室内に戻ってくる。
・ダクト内に埃が溜まっていないか心配である。

第3種換気の特徴日本住環境 ダクト式第3種換気システム ルフロ400
・自然給気口から新鮮な空気を各居室等へ流入し、機械換気でトイレや洗面等の
   湿気や臭気のある所から排気する。
・給気排気の経路が明確に分離されている。単純な構造で施工がしやすい。
・排気のみ機械換気の為、イニシャル・ランニングコスト共に安価である。
   30~40坪程度の建物で電気代月額約100円
・自然吸気口から外部の冷気又は暖気の流入により室内温熱環境に影響が出る。
   自然給気口からのダウンドラフトにより足元が寒くなる。
    ※窓面で冷やされた空気が降下し、床面を冷気が流れる現象
・外壁に貫通部分が多い為、雨水の侵入を防ぐ防水処置が重要。
・外部からの湿気や臭気や音の侵入がある。

第1種換気及び第3種換気共に様々な特徴があります。

※換気設備 関連記事
24時間計画換気システムで快適な空気環境を手に入れる
24時間換気システム その①

24時間換気システム その②

また、換気が如何に重要な役割を担っているかという実例について、
エディフィス省エネテックより環境先進国ドイツの現状についてお話がありました。

換気新住協研修会 環境先進国ドイツの現状①

ドイツでは国が主導で積極的な取り組みがされています。

環境先進国ドイツの現状 実際の一般的な家での体感

では実際の一般的な家での体感はどうでしょうか?

環境先進国ドイツの現状 無暖房で外気温0℃でも室温18℃キープ

なんと無暖房でも外気温0度の時に室温18度をキープ!

環境先進国ドイツの現状 北欧住宅の窓のスタンダードがドレイキップ窓

北欧住宅の窓のスタンダードがドレイキップ窓です。
1つのハンドルレバーで内倒しと内開きの2種類の開閉機能を持ち、日本でよく使われる
引き違い窓と比べても気密性が非常に高いサッシュです。

換気新住協研修会 環境先進国ドイツの現状②

倉庫には断熱材が積まれており、実はリフォーム工事の途中ということですが、
それにしても無暖房で18度キープは凄い。

環境先進国ドイツの現状 外断熱(写真左、窓周りが凹んでいるのが特徴)、内断熱(写真右)

断熱工法は外断熱(写真左、窓周りが凹んでいるのが特徴)、内断熱(写真右)
と両方存在します。

環境先進国ドイツの現状 外装材の断熱レンガ 

外装材の断熱レンガです。空気層が断熱性を高めます。

環境先進国ドイツの現状 ホームセンターで樹脂サッシュや様々な断熱材が普通に販売されています

ドイツのホームセンターでは、樹脂サッシュや様々な断熱材が普通に販売されています。
日本では商社等の流通経路でしか買えないものがホームセンターに揃っています。

環境先進国ドイツの現状 住宅展示場はすべてZEH化

住宅展示場はすべてZEH化されています。
日本は2020年に新築住宅の半分がZEH化の見込みです。

環境先進国ドイツの現状 住宅展示場内の壁断熱の断面模型

住宅展示場内の壁断熱の断面模型です。

環境先進国ドイツの現状 トリプルガラスが主流

サッシュも樹脂製または木製でトリプルガラスが主流です。

環境先進国ドイツの現状 断熱材も工法別で決められています

断熱材も工法別で決められています。

環境先進国ドイツでは、国の主導で住宅の高性能化が進んでいることが、
エディフィス省エネテックのお話から理解出来ます。

 

しかし、ドイツの家はすべてにおいて完璧なのでしょうか?問題点はないのでしょうか?

環境先進国ドイツの現状 問題点は?

窓周りの施工収まりが不十分。(写真左) キッチンにレンジフードがない。(写真右)

環境先進国ドイツの現状 換気計画が不十分で居室に換気設備がない

住宅については先進国のはずであるドイツですが、断熱性・気密性・省エネ性は高水準なのに、
カビの発生による健康被害や建物の劣化についての問題が増加しているようです。
カビの原因は換気計画が不十分であるということです。居室に換気設備がありません。
日本では2003年(平成15年)24時間換気が義務化され各居室の換気設備が整備されています。

換気新住協研修会 パナソニックより換気とカビのお話

パナソニックからのお話で、「換気と結露のカビ発生の関係」によると、
常時換気を行わないとカビ・結露の発生確率が2倍になります。

換気新住協研修会 高性能住宅を建てる為には換気も含めたベストバランスが必要

やはり高性能住宅を建てる為には換気も含めたベストバランスが必要になります。

このように今後、日本においても建物の高性能化が益々進んでいく事を考えると、
しっかりとした換気システムの選定が大変重要になってきます。

次回のブログでは、第1種、第3種換気システムの特徴を生かした選定方法と、換気に対する疑問について
当日の研修で質疑応答が行われました内容を発信いたします。

※前回の記事はこちらから→高断熱を基本性能とした住宅技術の研究開発 その1
※続きはこちらから→高断熱を基本性能とした住宅技術の研究開発その2~換気について考える②


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