2017.10.08

なんと固定資産税が6倍にも!「特定空家」をご存知ですか?

おかげさまで創業52年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。

みなさんこんにちは。
RCギャラリースタッフの松田です。

本日取り上げるのは、「空き家」について。

近年なにかと問題となっている空き家ですが、
総務省の統計データを見ても年々増え続けていることがわかります。

空家に関する総務省の統計データ

平成25年の調査では総住宅数に対する空き家率が13.5%で、7件のうち1件は空き家という数字になっています。

 

今後、高齢化が進む今後も更にその数は増えると予想されており、
2033年には約30%が空き家になっているのではないか?という見解も出ているそうです。

その最も大きな要因は、「ひとり暮らしの高齢者の他界や高齢者施設等に転居し、続いて住む者がいない」
ことではないでしょうか?
「独立した子どもは他所で暮らしていて、仕事や学校の関係で実家に戻れない」
といったことはよくある話です。

団塊の世代を含めた高齢者は今後急激に増え、特に駅から離れた利便性の良くない地域では、
空き家が一気に増加することが予想されています。

 

それではどうして居住する見込みのない「空き家」は解体されずに
長く放置されることになっているのでしょうか?

その要因のひとつに「住宅用地の特例」制度があります。

 

不動産を所有していると、「固定資産税」と「都市計画税」がかかります。
親が他界して相続が発生した場合、納税義務は子どもとなります。

この2つの税金は、市町村が定める不動産の価値「課税標準」に基づいて税額が決まります。
「空き家」であっても、毎年1月1日時点の所有者に納税通知が届きます。

この固定資産税・都市計画税ですが、実は「住宅用地の特例」という制度のお蔭で税金が安くなっているのです。
この「住宅用地の特例」が適用される条件は「住宅が建っていること」

例えば200㎡までの「小規模宅地」の固定資産税なら、課税標準の1/6まで減免されます。
つまり空き家を解体して更地にしてしまうと、固定資産税は6倍も高くなってしまうのです。

 

管理されていない放置空き家が増加すると、さまざまな問題がおこる可能性があります。

■ 老朽化による倒壊
日本では木造の家屋が主流です。
木造は換気や管理が行なわれなければ、一気に老朽化が進み、小さな地震や台風でも倒壊してしまうケースがあります。

■ 放火による火災
日本の総出火件数は43,741件(平成26年1月~12月)で、原因の1位は放火。
放火の疑いを合わせると8,038件(18.4%)となっています。
空き家は人目が届かず、燃えやすい枯草、ゴミなどが散乱していることが多いため、
不審者による放火の可能性が高くなってしまいます。

■ 不審者による治安の悪化
不審者は人目に付かない場所を好みます。
家の中に家財道具や布団などが揃っていれば、標的になる可能性が更に高くなります

■ 雪の重みによる倒壊や落雪
無管理状態では、屋根に雪が積もり重みで建物が倒壊してしまいます。
また落雪が起こり、歩行者の方に怪我を負わせてしまうことだってあります。

 

こうした放置空き家が社会的にも問題視される中、国は2015年5月26日に
「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家等対策特別措置法)を施行しました。

その内容は例え家があっても、「特定空家」なるものに指定されると、
土地にかかる固定資産税の優遇措置が適用されないというものです。

【特定空家】
そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより
著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが
不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

 

全国の空き家を全て強制撤去するような強行策が取られることはありませんが、
これにより市町村は空き家対策を段階的な手順を踏んで行なえるようになりました。

空家調査から行政代執行まで

 


1.空き家の調査と現況の把握

市町村は情報収集後、空き家を選別し、所有者に対して適切な管理、改善を促進します。
そして、特に対策が必要な「特定空家等」にみなされると措置が講じられます。

2.改善への指導
最初に行われるのは、解体、改修、木々の伐採等の助言又は指導です。
改善が見られない場合、猶予期限を設け、改善するように勧告します。

3.勧告
勧告の対象になると、※固定資産税の優遇措置が適応されなくなります。
つまり、勧告だからまだ平気などと考えているととんでもないことになってしまいます。

4.命令
猶予期限を付けて改善命令が出されます。
この際、対象者には意見を述べる機会(意見書や意見聴取)が与えられるので、
どうしても改善できない理由がある場合は、この機会を利用して陳述できます。

5.強制対処(行政代執行)
ここで遂に強制対処が可能となります。
気を付けなくてはならないのは、命令を受けて改善に着手すれば良いのではなく、
猶予期限までに改善を完了しなくてはならないということです。
ちなみに、強制対処は必要な改善であるため、費用は所有者負担となります。

 

空き家問題は、今後の日本では避けては通れない問題になっています。

「親が住んでいた実家を手放すのはどうも・・・」
「すぐには解体費用が用立てできないので」
「自分の老後は戻ってきて暮らしたい」

それぞれの事情があって、永く空家になっているケースもあるはずで、
解体や売却とは一概に言えないのだと思います。

建築・不動産業を営む私たちが、どれほどお役に立てるのかわかりませんが
これまでの事例を元にお応えしますので、お気軽にご相談ください。


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