2019.02.19

「あの丸いのは何ですか?」~コンクリート壁の“セパ穴”

おかげさまで創業54年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。

こんにちは、RCギャラリースタッフの山田です。

RCモデルハウスのあるここ阪神間では、
このところ寒さが緩み、昨日などは日中コートがいらないくらい暖かでした。
予報によると、明日は3月下旬並みの暖かさだそうで、ここ数日で一気に春めくとの事。
今年は春の訪れが早そうですね。
そうなると、ちょっと早いですが桜の開花時期も気になるところです。

さて・・・
鉄筋コンクリートのモデルハウスを案内中に時々頂く質問。
「あの丸いのは何ですか?」

杉板型枠打ちっぱなし壁

コンクリートの打ちっぱなし壁を見てみると、
規則正しい間隔で丸い形が並んでいますよね。

通称「セパ穴」と呼ばれるこの丸い穴。
コンクリートの壁を造る上で欠かせないものなのです。
本日は「セパ穴」についてお伝えしたいと思います。

コンクリートの壁を造るには型枠を組んで、その中にどろどろのコンクリートを流し込む訳ですが、
コンクリートを型枠に流し込んだ時、中から外に向けて強い圧力が生じます。

均一な厚みの壁を造る為、型枠と型枠の間隔を固定するのに必要なのが、
こちらのセパレーターと呼ばれる金属の部品。
Pコンは型枠とセパレーターをつなぐ為の部品です。

セパレーターとPコン

コンクリートが固まったら、セパレーターは壁の中に残りますが、
Pコンは外から取り除くことになります。
セパ穴というのは、Pコンを取り除いた時に跡になって残る穴の事なのです。

どういうことかというと・・・

①まずセパレーターで壁の厚みを決めます。

①セパレーター

②セパレーターにPコンを取り付けます。

②セパレーター&Pコン

③型枠と型枠の間にPコンを取り付けたセパレーターを取り付けます。

③セパレーター&Pコンそして型枠

下の写真はコンクリート打設前の型枠内にセパレーターが配置されている様子。
コンクリートの圧力と重みで壁の厚さが変わらないよう、間隔を均一に保ってくれています。

型枠とセパレーター設置の様子
(基礎部分 コンクリート打設前)

コンクリートが十分に硬化したら、「脱型」(だっけい:型枠を外す工程)するのですが、
打設前に設置したPコンはすべて取り除いて回収します。

Pコンを取り除いた跡が「セパ穴」です。
穴の中央に金属のセパレーターの端っこが見えますね。

セパ穴

屋内(ビルトインガレージや室内)であれば、セパレーターの端っこ部分に、
ねじ込んで取り付けられる「Pコンフック」と呼ばれる部品を取付けて、
絵をかけたり、上着を掛けたりしてセパ穴を活用することが出来ます。
ちなみに、テレビなどの重量のあるものは、コンクリート壁にドリルで穴を開けて
“アンカー”と呼ばれる専用の部品を取り付けて設置する必要があります。

セパレーターは鉄製なので、屋外では雨で錆びてしまいます。
また壁を貫通しているので、放置していると雨水などが伝わって、
漏水の原因にもなることから、「セパ穴」にモルタルを詰めて止水の処理をします。

止水のモルタルを詰めたセパ穴

 

街中などで建物をよく見ていると、「あれは何だろう・・・」と
疑問に思うことがありますが、調べていくと納得の理由があります。

ちょっとしたウンチク話になりましたら幸いです・・・。

※関連記事→コンクリート打ちっ放し仕上げといえば「セパ穴」


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