2016.04.18

地震時、建物の揺れが増幅される「共振現象」

おかげさまで創業51年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。
 

西宮展示場スタッフの松井です。
九州・熊本地震により被害を受けられました皆さまに心からお見舞い申し上げます。

何度何度も繰り返し発生する余震に、現地で避難されている方は
常に不安を抱えている状況だとお察しします。
心安らぐ時が一刻も早くやってくることを祈るばかりです。

 

 

今回の地震では、本震だと思われたM6.5、震度7の余震の後に、
M7.3、震度6強の激しい揺れが襲いました。

結局この激しい揺れが「本震」であり、その後数日経っても震度5や6といった揺れが続き
建物は何度も繰り返し揺らされました。

日本では大きな地震が起こる毎に建築基準法や関連法令が改正されて、
建物の耐震性能は今日まで向上してきました。

ただし、新築の時はとても丈夫だった建物も、何度か揺さぶられると少しずつ損傷が重なります。
当初の設計で見込んでいた耐震性能が発揮されなくなり、倒壊に至るケースもあります。

今回の地震による家屋被害を見ると、まさにこれかなと感じました。

 

 

先日、とある特殊基礎会社(杭工事)の方と打合せた際、
「地震」の際に建物の揺れが大きくなる現象として “共振”という言葉を教えていただきました。

 

なんでも、地震時に建物の振動に合わせたリズムと同じリズムで地盤が揺れると、
建物の揺れが増幅されるのだそうです。この現象を「共振現象」と言います。

共振現象 図解

よく理解していない私の表情を察して、ブランコを例に分かりやすく説明していただきました。

ブランコに乗っている人の背中を、ブランコが揺れるリズムに合わせて押していると
どんどん揺れが大きくなります。

共振現象 例ブランコ

ブランコを例に挙げましたが、建物も地震や台風のような外力によって揺れます。
建物の場合は「高さ」「重さ」「固さ」などでその揺れるリズム(=一回揺れる時間)が決まります。
このリズムはその物体が固有に持っている揺れの周期なので「固有周期」と呼ばれます。

固有周期は高い建物ほど長くなり、 鉄筋コンクリートの建物の場合では、
建物高さ(m)×2%= 固有周期(秒)で概算できます。

参考までに10階建て程度の建物では、固有周期は約0.6~0.8秒なので、
一般的な地震で大きな加速度成分をもつ周期と「共振」して被害が拡大することがあるそうです。

10階建て程度の建物では、固有周期は約0.6∼0.8秒

ちなみに現行の耐震基準では、こうした共振時にも
建物が崩壊や倒壊に至らないような設計強度が定められています。

 

 

話を聞くと、ビルやマンションのような高層の建物だけが「共振」現象によって
「揺れ」が大きくなるのかと思いきや、同じ強さの地震波であっても、
揺れの周期の違いで被害を受けやすい建物が変わってくるとのことでした。

共振現象 イメージ

短い周期の地震なら、低層の戸建て住宅の揺れが増強して被害が出やすく
高層ビルはそれほど影響を受けないこともあるようです。

この日、「共振」について丁寧に教えていただいた会社は
「共振」を抑える「免震」性能を持った杭工法を開発されています。

地震に備える工法として、これから採用するケースも増えそうです。


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