2016.10.15

アルミに樹脂に木製・・・窓のはなし

おかげさまで創業51年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。
  
 

みなさん、こんにちは。
RCギャラリースタッフの松田です。

10月も中旬に差し掛かり、いよいよ秋本番といった気候になってきました。

私の場合はやっぱり“スポーツの秋”。
最近は早朝ランニングやフットサルなどに取り組んでいます。

 

ここで豆知識を1つ。

秋は元々体を動かすのに最適な気温であり、天候も良い日が続くことから、
スポーツに適しているというのは昔から言われていました。

それに加え、東京オリンピックがこの時期に開催されたことで、
スポーツを楽しもうとする気風が以前にも増して高まりました。

ご存知のように開会式が行なわれた10月10日は「体育の日」と制定されています。

このようなことから10月10日を中心としたこの時期、運動を楽しむ風潮が生まれて
“スポーツの秋”と呼ばれるようになったそうです。

皆様は “どんな秋”をお過ごしですか?

 

さて、本日取り上げるのは、住宅になくてはならない「窓」についてです。

窓は大きく「サッシ(sash、窓枠)」と「ガラス」で構成されています。

「サッシ」の材質は、古くは木製やスチール製が多く使われていましたが、
最近ではアルミサッシの他、断熱性を高めた樹脂サッシ、アルミと樹脂の複合サッシ、
木製サッシなどが人気です。

アルミサッシの場合、「サッシ」はガラス部分を除いた窓枠と障子(戸)のことを言います。
ちなみに一般的にアルミサッシメーカーのカタログに記載されている価格は
「サッシ」部分のみの価格であってガラスは含まれていません。

最近では、室内の温熱環境をより良くする為、住まいの高気密・高断熱化が進んでいて、
断熱性能の高いサッシ、ガラスなどの商品が充実しています。
住宅の「窓」選びは、デザインや明るさはもちろん、「断熱性」も重要なポイントとなります。

サッシの素材で見た目のデザインも異なりますが、
熱の伝わり方(熱伝導率)が違います。
(※熱伝導率とは材料自体の熱の伝えやすさを表した値です。)

素材と熱伝導率

「熱伝導率の数値が高い」ということは、「熱が伝わりやすい材料」ということになります。
上の表を見ると、アルミは木材や樹脂、ガラスに比べて突出して熱が伝わりやすい素材なのがわかります。

木材は鍋の取っ手にも使われているように熱は伝わりにくい素材です。
アルミは耐久性があり加工しやすいのがメリットですが、
断熱性能だけを見ると他の素材に比べて見劣りする素材です。

「窓の断熱化」というと、面積の大きいガラス部分に目が行きがちですが
アルミサッシの場合はサッシ部分の熱損失も考えなければなりません。

サッシ部分の熱損失

暖房の種類や換気方法、室温や湿度の状況にもよりますが、
寒くなるこれからの時期、アルミサッシの場合は
上のように室内の暖気が逃げ、屋外の寒気が室内に入り込んで
サッシ部分で結露が発生する可能性が大きくなります。

 

次に「ガラス」ですが、現在の住宅では主流がシングル(単板)ガラスからペア(複層)ガラスに変わり、
さらにトリプル(三層)ガラスといった商品も出ていて、サッシ部分と同様に断熱化が進んでいます。
またペアガラスには空気層部分にアルゴンガスを封入したものやガラスの内側に特殊金属膜の
コーティングを施したLow-Eぺアガラスもあります。

それぞれの熱の伝わりやすさの数値を、ガラスメーカー旭硝子さんのホームページを参考に表にしてみました。

ガラスの熱の伝わりやすさ-熱貫流率(U値)

ガラスの熱の伝わりやすさは、熱貫流率(U値)で表します。
熱伝導率と同じように、熱の伝えやすさを表わす数値で、小さいものほど断熱性能に優れています。

「熱伝導率」と「熱貫流率」
ちょっとややこしいかもしれませんが、熱伝導率は材料自体を評価する数値であるのに対し、
熱貫流率(U値)はそれに加えて材料の厚さも評価した数値となります。

ガラスの種類と断熱性能

 

このように、一言に「窓」といっても、「サッシ」と「ガラス」共に種類が多く、
それぞれで断熱性能の差があり、組み合わせも自在です。

住宅全体の熱損失量を見ると、窓やドアなど開口部からの熱損失の割合は
全体の半分、50%にもなると言われていて、家の省エネ性能を上げるには、
「窓」の断熱化を一番に考えるべきとも言えます。

 

と、ここまで書いてきて・・・

確かに「高断熱」「省エネ」「エコ」住宅は時代が求める家の姿に違いありません。
でも、住まいの「快適性」はそれだけでは量ることができないと思うのです。

みなさんが車を選ぶ時だって、燃費性能をはじめデザインやコストを含めたトータルで検討されたはずです。

ちなみに・・・
鉄筋コンクリートモデルハウス「RCギャラリー西宮」の窓はアルミサッシです。
アルミサッシより断熱性能の良い樹脂や複合、木製ではありません。
(ガラスはLow-Eペアです)

鉄筋コンクリートモデルハウス「RCギャラリー西宮」の窓はアルミサッシ①

鉄筋コンクリートモデルハウス「RCギャラリー西宮」の窓はアルミサッシ②

選定の基準となったのは「デザイン」
視界の広がる大型のコーナーサッシや高さ2m50cmものハイサッシはアルミサッシならでは。
この窓から見える中庭の木々たちや差し込む陽光は、設計者の狙い通りになっています。

「いい塩梅(あんばい)」

何ごともバランスが大切です。
数値だけを追いかけていると、本当に大切なものを見落としてしまうのではないでしょうか?

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