おかげさまで創業54年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。
皆様、こんにちは。RCギャラリー西宮スタッフの 市中です。
前回は、一般社団法人新住協(新木造住宅技術研究協議会)の
第2回研修会テーマ「換気について」
・換気の基本
・環境先進国ドイツの現状
・換気の重要性について
をご紹介しました。
今回は換気の疑問について検証したいと思います。
熱交換型換気ユニット
1.第1種熱交換型換気と第3種換気では、どちらが省エネ性に優れているの?
まずは機器の比較です。
イニシャルコスト(機器の費用) 第1種熱交換型ダクト式 > 第3種換気
ランニングコスト(年間の電気代) 第1種熱交換型ダクト式 > 第3種換気
いずれも第3種換気の方が優れています。
しかし、第1種熱交換型のダクト式を導入した場合のメリットはどのようになるのでしょうか。
当然ながら熱交換なので冷暖房のエネルギー消費量に影響があるはずです。
それを検証する為には建物全体のエネルギー消費量を理解する必要があります。
エネルギー量の算出には国立開発研究法人建築研究所HPに公開されている
「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」を利用します。
このプログラムはZEH(ゼロエネルギーハウス)のエネルギー計算の際に利用するものです。
これを使って検証してみましょう。
このプログラムに
「建物面積」「地域区分」「外皮性能(断熱性能等)」「冷暖房」「換気システム」「給湯器」「照明器具」
の情報を入力することにより、設計された建物の一次エネルギー消費量の合計が算定されます。
※一次エネルギーとは 石炭や石油、天然ガス、水力など、自然にあるままの形状で得られるエネルギーのこと。
第3種換気を設置した住宅の一次エネルギー消費量の計算結果
↓クリックで拡大します。
第1種熱交換型ダクト式換気を設置した住宅の一次エネルギー消費量の計算結果
↓クリックで拡大します。
UA値0.46W/㎡K
このように必要な情報を入力すると計画された住宅の
暖房設備 冷房設備 換気設備 給湯設備 照明設備 その他設備(家電等)
の一次エネルギーの消費量が算出されます。※UA値0.46W/㎡Kを入力
計算結果からチョイスして比較してみると
第3種 第1種熱交換ダクト式
暖房設備一次エネルギー消費量 16,887〔MJ〕 > 14,108〔MJ〕
冷房設備一次エネルギー消費量 5,202〔MJ〕 = 5,202〔MJ〕
換気設備一次エネルギー消費量 892〔MJ〕 < 2,836〔MJ〕
合 計 一次エネルギー消費量 22,981〔MJ〕 > 22,146〔MJ〕
第1種熱交換ダクト式の方が835〔MJ〕エネルギー消費量が低いという結果です。
機器だけの比較では第3種換気のほうがエネルギー量は低いですが、
熱交換による暖房設備のエネルギー消費量は第1種熱交換ダクトほうが
エネルギー消費量は低いという結果が出ました。
建物全体のエネルギー消費量は(住宅の換気仕様以外は同条件とした場合)
イニシャルコスト 第1種熱交換型ダクト式 > 第3種換気
ランニングコスト 第1種熱交換型ダクト式 < 第3種換気
ということになります。
第1種換気システムは省エネ性が高く、外部からの熱の影響が少ない分
室内は快適に過ごせそうですね。
この一次エネルギー消費量を金額に換算すると
1.0〔MJ〕をkWhに変換→0.277778〔kWh〕
835〔MJ〕は835×0.277778=231.9〔kWh〕
231.9〔kWh〕×電気単価約29円/ kWh=6,725円
1年間でランニングコストが約6,725円お得になります。
但し、イニシャルコストと比較すると第1種と第3種の価格差は
20~30万円ぐらいの差があるので、元は取れません。
快適な室内空間を望まれる方は、初期コストをかけていただいて第1種熱交換型ダクト式を
また、価格を重視される方は、第3種換気をお勧めします。
2.第3種換気を選んだ場合、自然給気口からの冷気、臭気、音、花粉、pm2.5対策は
どのようにすれば良いの?
第3種換気を選ばれた場合は、日本住環境㈱の自然給気口がバリエーション豊富で
効果的であると思いますのでご紹介します。
日本住環境ルフロ400カタログより引用
3.第1種熱交換型換気のメンテナンス性の良いものはないの?
第1種熱交換型換気ダクト式の大半が天井裏に換気ユニットを設置する機器が多いですが、
パナソニックエアテクトの縦置き設置の換気ユニットであれば機器が壁に埋め込みになるので
梯子等を利用して天井面を見上げなくてもメンテナンスが楽になります。
Panasonic気調システムカタログより HPはこちら
4.第1種熱交換型換気ダクトレス(天井内の配管のないタイプ)はどんなもの?
第1種熱交換型換気の中にもダクトレスの機器があります。各居室等の壁にパイプファンのように取り付けて、換気ユニット2台をワンセットとして70秒ごとにファンが連動反転することで給排気が入れ替わります。通過する給排気の熱を蓄積エレメントに蓄積エレメントに蓄積回収しながら換気します。
換気計画については、しっかりと計画された建物図面に基づき、換気計算を1邸1邸行い検証していきます。
換気はカビや結露の発生等を防ぎ人の健康と建物の耐久性を保つためには大変重要な役割を果たします。
当然ながら建物性能は十分に確保することも大事です。
換気システムの選択は住まい方や用途に合わせて様々です。
今回のブログを参考にしていただければと思います。
※前回の記事はこちらから→高断熱を基本性能とした住宅技術の研究開発 その2~換気について考える①
兵庫・大阪で建てる高品質&デザインRC注文住宅。
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