2024.01.23

RC住宅に住んでいるけれど本当に耐震性は大丈夫?~耐震診断について

おかげさまで創業58年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。

RCギャラリー西宮スタッフの市中です。
新年早々に発生した、能登半島地震には大変な驚きと衝撃を受けました。
まさかこんな晴れの日に、こんな事態が訪れようとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。
このたびの地震で被害に遭われた被災者の皆さまには心よりお見舞い申し上げます。

鉄筋コンクリートモデルハウス『RCギャラリー西宮』では、年始よりお客様にご来場いただき、
またお電話やメールでのお問い合わせもいただいておりますが、例年に比べると、
やはり建物の耐震性についてのご質問を多くいただきました。

これから新築でRC住宅をご計画の方には、しっかりとした耐震設計のもと、安心いただける
オンリーワンの家をご提供することが出来るのですが、既にRC住宅にお住まいの方や、
これから中古RC住宅の物件を購入される方からは「築年数が経過しているRC住宅は、
果たして本当に地震に対し安全なのでしょうか?」とのご質問を多くいただいております。

RC住宅_スケルトン空間

基本的に「RCだから安全。」と思うかもしれませんが、経年劣化の程度や建物の形状、立地など、
さまざまな条件が影響を及ぼすこともありますので、状態に応じた適切なアドバイスをさせて
いただいております。

「経年で変化していくRC住宅が地震に対して安全かどうか?」
確認方法のひとつとしては耐震診断制度の利用が挙げられます。

耐震診断_流れ
※クリックで拡大します

耐震診断には簡易診断(窓口は市区町村、補助金制度有り、数十万程度)と本診断(建設会社や設計事務所などに直接依頼、補助金制度は無し、数百万かかる場合も有り)があります。

「建物を見た感じでは異常なさそうだけど、何回も小さな地震には遭っているし、本当に安全なのか確認したい。」という場合、まずは簡易耐震診断から入るケースが多いです。
簡易診断で異常が見つかり、更に詳しい調査が必要になった場合、本診断に進み、具体的にどこに異常があって、どのように工事をすればいいのかを診断していきます。

簡易の耐震診断については各地方公共団体(市役所等)の窓口で対応の受付が行われております。

西宮市HP_住宅耐震改修促進事業パンフレット

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西宮市HP 住宅耐震改修促進事業パンフレットより引用

耐震診断の利用をお考えに場合は「必要な書類」を揃えたり、「診断に必要な情報」実際の建物条件」等を
確認する必要があります。今回は実際に耐震改修を行った際に使用した、西宮市の耐震診断の資料を引用させていただきながらご説明いたします。

1.耐震診断を行う際に必要な書類
・建築確認申請書(副本)と建築確認済証 
 
新築住宅の工事着工前に建築主事又は指定確認検査機関に提出し建築確認を受けることで建築確認済書が交付されております。これがないと建築できないので必ずあります。新築の場合は竣工引渡し時に設計事務所又は建設会社より、流通されている物件購入の場合は不動産会社より渡されることが一般的です。
・構造計算書   
建築確認申請書(副本)に添付されております。別冊になっている場合もありますが、
許容応力度計算された書面がRCの場合は必ずあります。
・設計図書    
建物の設計図です。建築確認申請書(副本)にも添付されておりますが、新築工事を開始してから発生した変更箇所などをもとの設計図に反映し修正して、最終的に実際に竣工した建物を正確に表した竣工図面があればベターです。
・検査済証  建築主事又は建築確認検査機関が発行の済証
工事中の中間検査や完了検査が完了し基準に適合が認められることで交付される書類です。
建築確認申請書(副本)に添付されていることもあります。

2.耐震診断を行う際に必要な情報
・構造計算を行った際の耐震基準
 ~新耐震基準か?旧耐震基準か?
1981年(昭和56年)に耐震基準が改正(新耐震基準)されております。
1981年(昭和56年)以前の構造計算は旧耐震基準の為、構造計算された年度で認識する必要があります。
建築確認申請書(副本)に添付の建築確認済証の日付で認識できます。

・鉄筋コンクリートの構造形式 ~ラーメン構造か?壁式構造か?
鉄筋コンクリートの構造には2種類の構造があります。

耐震診断_必要情報_ラーメン構造_壁式構造

ラーメン構造・・・柱と梁でフレームを支える構造
壁式構造・・・屋根床壁と6面体で構成する構造

建築確認申請書(副本)や設計図書で認識できます。

・増改築の経歴 ~増改築有か?無か?
建物完成から現在までに増改築で建物の形状等が変わった場合の情報や図面等、
増築等で建築確認申請をされた場合は申請書と検査済証が必要です。

3.耐震診断を行う際に必要な実際の建物条件
・地形、地盤 

建物の建設地が平坦地か、崖の上か下か、などを現地で確認します。

耐震診断_必要条件_崖地

崖地の場合は、「高さ(m)」「崖上又は崖下からの距離(m)」この情報が必要です。
地盤ついては建築確認申請書(副本)に添付の地盤調査報告書で確認が出来ます。

・経年劣化  
建物の状態について以下の点を現地で確認します。
・不同沈下の有無
・建物の傾き
・コンクリートの柱や梁のひび割れ
・コンクリート躯体の欠けや剥離
・火災経験があるか、その影響によるコンクリートの劣化があるかどうか
・内外装の仕上げ材の剥離や老朽化

・平面形状  
建築確認申請書(副本)や設計図書で以下の点を確認します。
・壁の均等配置
・平面形のずれ
・平面的な凹凸

・立面形状  
建築確認申請書(副本)や設計図書で以下の点を確認します。
・ピロティの有無
・セットバックの有無
・上下階の壁量の差
・立面上の段差

1の書面及び2の情報についてはご自身で建築確認申請書(副本)をもとに確認することが出来ます。
3の地形、経年劣化は目視での確認となりますので、平面形状や立面形状などは建築士又は耐震診断士が
判断する事になります。

以上の情報をもとに耐震診断(簡易)が行われます。
各項目に建築確認申請書(副本)が出てきますが情報量が非常に多い為、重要書類として大切に保管
してください。

また、新耐震基準と旧耐震基準について1981(昭和56年)の改正を境に地震被害が軽減されております。

構造設計事務所 さくら構造株式会社HPより

※↑クリックで拡大します
※当社協力の構造設計事務所 さくら構造株式会社HPより引用

大きな地震災害のたびに構造基準が改定され更新されており、比較的に新しい建物は耐震性に優れています。
RCギャラリー西宮へご相談されるRC住宅の物件については築30〜50年の建物が多いです。
ご相談いただけますと各地方公共団体(市役所等)窓口へのご案内や必要書類や情報のサポートも行うことが
出来ます。

また、見た目で建物の傾きや損傷具合などが分かり、明らかに何らかの耐震工事が必要という場合は、簡易診断をせずに本診断から入る方が簡易診断の費用をかけずに済みます。
上記にて説明しました、1.の書類があれば、当社でも本診断(有償)をお受けする事ができ、耐震設計と耐震改修工事のご提案をさせていただきます。

RC住宅の事であれば新築、増改築、リノベーション、耐震診断について総合的にサポートできる体制が構築されておりますので、モデルハウス見学だけでなく、耐震のご相談もRCギャラリー西宮をお気軽にご活用ください。


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