おかげさまで創業50年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。
こんにちは。営業の伊藤です。
先日、4月に会社で受診した健康診断の結果が届きました。
おかげさまで診断結果に異常はなく、ほっとしましたが
食事の際の塩分の取り過ぎに気を遣うようになりました。
さて・・・
人間もそうですが、鉄筋コンクリートも塩分を取り過ぎると
将来的にいろいろと具合が悪くなってしまうのです。
鉄筋コンクリート構造は、その名の通り「鉄筋」と「コンクリート」で造られています。
まず構造計算に基づいたサイズや本数、間隔通りに鉄筋を組み立てた上で
コンクリートを流しこみます。
固くて強固なイメージがあるコンクリートですが、弱点もあります。
圧縮する力にはめっぽう強いのですが、引っ張られる力には弱いという特性があるのです。
数字で見ると、コンクリートの引張強度(引っ張りに耐える力)は、
圧縮強度の1/10~1/13ほどしかありません。
そこでこの弱点を補うために、引っ張る力に強い「鉄筋」と「コンクリート」とを組み合わせることで
生まれたのが「鉄筋コンクリート」なのです。
「鉄筋コンクリート」は英訳すると「Reinforced Concrete (レインフォースド・コンクリート)」
「RC(アール・シー)」はこの頭文字を取っているのですが、直訳すると「補強されたコンクリート」になります。
鉄筋コンクリート造の建物や工作物を長持ちさせるためには、
内部の鉄筋が錆びることなく、引っ張りに耐え続けるかが重要です。
今回のブログを作成するにあたり、いろいろ調べてみました。
「知っている」けど、「伝える」のはとても難しいことだと
あらためて感じました。
うまくお伝えできていればよいのですが・・・
鉄は空気中の酸素に触れると、すぐに酸素と結びつきたがります。
配筋が作られる工程で鉄の表面は酸化して、バリアを張るのです。
このバリアを不動態皮膜と呼びます。
この薄い膜が鉄を内部まで酸化しないように守るのです。
また、組まれた鉄筋に強アルカリ性のコンクリートが流し込まれると、
不動態皮膜の分子がきれいに整列して、より強固なバリアが形成されます。
この状態が続けば、鉄筋コンクリートはとても健全な状態を維持し、
構造体を支え続けるのです。
しかし、このバリアにも弱点があります。
塩(塩化イオン)が表面にくっつくと、バリアが破られてしまいます。
塩そのものは直接的に鉄を錆びさせる物質ではないのですが、
塩化イオンが不動態皮膜をやぶってしまうことで、鉄筋がコンクリートや空気中の水分・空気に触れ、
酸化還元反応を起こして錆びが発生するのです。
鉄が酸化して錆びると、体積は2~3倍にも増加します。
コンクリート内部の鉄筋であれば、コンクリートを圧迫し始めます(潜伏期)。
コンクリートは引っ張る力には弱いため
内部で鉄筋が膨張するとやがてコンクリート表面に亀裂が走ります(進展期)。
この後はコンクリート表面の亀裂から雨水が浸入することで、
より一層酸化スピードが早まります(加速期)。
そして最悪はコンクリートの崩壊へと繋がることになります。
※写真は近くの高速道路側壁の現況です。
コンクリートに塩分が浸入するには、大きく2つのケースがあります。
1つ目はコンクリートの材料自体に塩分が含まれているケースです。
戦後から1980年代の高度成長期においては、原材料不足からコンクリートに使用される
骨材(砂)は山砂以外にも海砂が多く使用されていました。
当時建設された新幹線のトンネル内でのコンクリート片脱落事故もこれです。
当時は鉄筋コンクリートと塩分の関係がよく知られていなかったのです。
現在では、コンクリートに含まれる塩化物量は規定されています。
建築物の場合、コンクリート1m3に含まれる塩化物量(塩素イオン換算)は0.30kg以下。
現場でコンクリートを受け入れする際の検査でも、毎回「カンタブ」と呼ばれる検査紙で
塩化物量を測定しています。
2つ目は、立地する環境によって塩分が浸入するケースです。
海岸沿いでは、海水が霧状になり、風に乗って建物の表面に塩が付着して
コンクリート表面の亀裂より侵入するケースがあります。
どちらのケースでも、正しい施工計画(コンクリートのかぶり厚の確保)と
適切な維持メンテナンスによって建物の致命的なダメージを回避することができます。
「なぜ、やってはならないのか?」
中身内容を理解した上で取り組むことはとても大切ですね。
兵庫・大阪で建てる高品質&ローコストのデザイン注文住宅。
「ビルトインガレージのある家」「屋上テラスのある家」「耐震住宅」をRC住宅で叶える。
宝塚・尼崎・西宮・芦屋・神戸の鉄筋コンクリート住宅なら三和建設。