おかげさまで創業50年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。
【前編】では「宅地造成等規制法」の概略について触れました。
今回は、現場での実務を中心にお話します。
【前編】でも触れましたが、この規制区域で対象工事をおこなう場合、
工事着手の前に図面や構造計算書を添付した申請書を都道府県知事に提出し、
許可を受けなければなりません。
兵庫県の場合、申請から工事完了までのフローチャートは以下のとおりです。
図面や書類の作成手間もそうですが、関係者がなにより厄介に思うのは、「時間がかかる」 ことなのです。
工事の規模や内容にもよるのですが、宅造の申請から許可までに概ね一ヶ月間を要すことになります。
全体スケジュールに余裕があればいいのですが、お仕事や学校の関係などで完成引渡しを急がれている場合などは、
この一ヶ月間がネックになることもよくあります。
工事をおこなう側からすると、時間と手間のかかる宅造ですが、
擁壁や雨水排水設備などは第三者の検査が入るので、お客様は安心して任せられると思います。
それでは実例をご紹介します。
1例目は先日ご依頼のあった豊中市の案件です。
閑静な住宅街にある土地ですが、こちらも宅造規制区域内となります。
道路から1.5M程度宅地が上がっており、道路際は現況法面(のりめん)となっています。
こうした土地の建築計画では、建物だけでなく土留め擁壁や階段、掘り込みガレージの計画も
並行して進めることになります。
宅地を平坦に広げるために道路際に設けるL型擁壁はこんな感じになります。
盛土となる部分の高さが約1.5Mと、1Mを超えるので、宅造許可が必要になります。
ちなみに掘り込みガレージも併設して設けますが、こちらは切土となります。
ガレージを造るための切土も敷地高低差の約1.5M。
こちらは2M未満なので宅造許可は不要との判断になります。
2例目は私たちの地元宝塚市内での宅地造成工事です。
工事前の現況はこうでした。
竹が覆い繁るこちらの土地は、道路より約3M下がっており、土地活用のために宅造許可を取得して
道路高さまでかさ上げをおこないました。
まずは仮設の土留めをおこない、擁壁の底版まで掘削します。
構造計算に基づいて定められた配筋でL型擁壁を築造しました。
土中の潜る部分も含めた総高さは4.6Mにもなります。
入念に埋め戻し土を転圧しながら整地をおこない、工事は完成です。
この後、工事完了届を提出し完了検査を受けます。
そもそも宅地造成等規制区域内であろうとなかろうと、
建物を建てる敷地は安全性が確かなことを確認しなければなりません。
鉄筋コンクリートで造る擁壁やビルトインガレージなどは、土圧や地耐力を考慮した構造計算をおこなって
安全性の高いものにすべきです。
建物も土地も、将来に渡って安心出来るものにすることが、
私たち住宅建築に関わる者の使命だと思うのです。
※前回の記事はこちらから→「えぇっ? これって宅造かかるの?」~ “宅造規制法”を読み解く!【前編】
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