2016.05.07

「甲子園の家」建築日記・・・建物の寿命を決めるコンクリートのかぶり厚

おかげさまで創業51年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。
 

皆さん、こんにちは。

GW休暇も残りわずかとなりました。
お天気にも恵まれて、あちこちの行楽地は大賑わいだったようです。
家族サービスに渋滞の中での運転。お疲れモードの方もおられるのでは?

「RCギャラリー西宮」は5/3(火)のグランドオープンから
この週末も休まず営業しております。
今お住まいをお考えの方も、まだまだ先の方も
鉄筋コンクリートの家をぜひご覧いただきたいです。

 

 

西宮市内で建築中の鉄筋コンクリート住宅「甲子園の家」では
基礎の配筋工事が始まっています。

本日は西宮展示場スタッフの吉川がお届けいたします。

 

「墨出し」

打設した捨てコン(捨てコンクリート)が乾くと、地中梁の床版(スラブ)の位置やサイズ、記号などを
設計図に基づいて地面に記す「墨出し」を現場監督がおこないます。

この「墨出し」通りに鉄筋工さんが鉄筋を組み上げますので、とても大事な作業です。

 

現場に基礎に使用する鉄筋が搬入されました。

基礎に使用する鉄筋が搬入

こちらは地中梁のスターラップ(あばら筋)に使用します。

 

現場に搬入された鉄筋が設計図に指示されたものであるかを確認

現場に搬入された鉄筋が設計図に指示されたものであるかを確認します。

ひとくくりに「鉄筋」と言えども、その成分や材質、降伏強度や引張強度などによって
JIS規格(日本工業規格)で分類されています。

「SD345」は中低層の鉄筋コンクリート建物では、ポピュラーな規格です。
他にはSD295AやSD295B,SD390や高層建築物などで使用されるSD490といった規格もあります。

「D19」の「D」は「異形棒鋼」を指し、「19」は鉄筋径19ミリを指しています。

基礎配筋には、鉄筋以外にも使用する部材があります。
そのひとつが「基礎エース」です。

「基礎エース」は地中梁上部の主筋を支持するために設置する金物

「基礎エース」は地中梁上部の主筋を支持するために設置する金物です。
また鉄筋の上部と下部のコンクリートのかぶり厚さを一定に保つ役割もあります。
かぶり厚さとは鉄筋を覆っているコンクリートの厚さのことです。

基礎エース

鉄筋コンクリートの建物にとって、鉄筋のかぶり厚の確保は重要項目です。

日本建築学会の「建築工事標準仕様書・同解説JASS5」には
各部位毎の鉄筋のかぶり厚が記載されており、
私たちはこれに準じた施工をおこなっています。

日本建築学会の「建築工事標準仕様書・同解説JASS5」

各部位毎の鉄筋のかぶり厚が記載

 

コンクリートは打設した当初は強アルカリ性を示します。
まだ固まる前のコンクリートを素手で触ると、たまに肌荒れをおこす方もおられます。
この強いアルカリ性のコンクリートに包まれることで、鉄筋は錆びることなくその強さを発揮できるのです。

ところが長い年月を経る中、空気中の二酸化炭素の影響で、コンクリートは次第に中性に向かおうとします。
コンクリートがアルカリ状態を失っていき、酸性へと傾くことを「コンクリートの中性化」といい、
コンクリート劣化の大きな原因の 一つになっています。

コンクリートの中性化のスピードは、2~30年で10ミリ程度ともいわれます。
「コンクリートの中性化」による劣化を防ぐためには、施工管理計画を綿密におこない
適切なかぶり厚を確保した品質の良いコンクリートを打設することが重要なのです。

※前回の記事はこちらから→「甲子園の家」建築日記・・・一番初めのコンクリート、「捨てコン」
※続きはこちらから→「甲子園の家」建築日記・・・型枠大工の仕事
 
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