2013.05.17

今さら聞けない コンクリートって? その②

おかげさまで創業48年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。

固まったコンクリートは、重量物を支えるのに大きな力を発揮します。
多くのビルに使われる通常のものでも、直径10センチの円柱にしたとき、
16~20トンの重さに耐えることができます。

どんな力にでも強さを発揮しそうなコンクリートですが、引っ張ったり曲げたりする力
に対する強度は、重さに耐える強度の1/10ほど。
金属のように均質な材料ではなく、砂や砂利の骨材とセメントがくっついてできている
コンクリートは、引きはがそうとする力にはもろい面があります。

そこで登場するのが鉄筋です。
コンクリートの中に細長い鉄の棒を入れることによって、引っ張る力に対抗してもらいます。

「コンクリート」と「鉄筋」
実はとても相性の良い組み合わせなのです。この二つの素材は温度による熱膨張率が
ほぼ同じなので、はがれにくい相性の良さがあります。
また、コンクリートはアルカリ性なので、酸によって錆びる鉄筋を覆うことで、錆を防ぎ
永年に渡って強度を維持することが可能になります。

最強のパートナーに思える鉄筋コンクリートですが、弱点もあります。
練り混ぜる際に加えた水のうち25%程度は、セメントの水和反応に使われますが、
残りは長い年月をかけて徐々に蒸発していきます。

コンクリートは乾燥するとわずかですが、縮みます。
この特性を十分理解して設計や施工計画をおこなわないと、
鉄筋にくっついた部分との間で、ひび割れが生じることになります。

このひび割れから雨水と空気が進入すると、内部の鉄筋が錆びてしまいます。
鉄筋は錆びると体積が増え、膨張するので、ひび割れがさらに大きくなるという悪循環がおきます。

高度成長期に作られたコンクリートの橋脚やトンネル、や建物の中には、塩分濃度の高い
海砂をよく洗わずに骨材として使用したものがあり、塩分によって鉄筋が錆びてコンクリートが
剥がれ落ちるケースが報告されて、社会問題にもなりました。

本来はコンクリートのアルカリ性が鉄筋を錆びから守っているのですが、この機能が失われる
「中性化」という現象もあります。

大気中の二酸化炭素が悪さをして、コンクリート表面から奥にじわじわとアルカリ性を中性へと
変えてしまいます。「中性化」はコンクリートの「かぶり厚」を正しく確保することで、その進行を
著しく遅らせることはできるのです。

専門家曰く、「コンクリートの劣化のメカニズムは十分に解明されていない面もあるが、
研究と対策は進んでいる」とのこと。

現代建築に不可欠の建築材料である「鉄筋コンクリート」
地震や津波、耐風といった自然災害から人々の生命と暮らしを守るために、
研究と開発が進められているのです。

※前回の記事はこちらから→今さら聞けない コンクリートって? その①

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