2022.10.10

RC断熱改修には補助金があります!~補助金交付の採択内容を公開~

おかげさまで創業57年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。

日に日に秋も深まりつつある、つい先日のこと、
ふとモデルハウスのウッドデッキに目をやると小さな鳥が1羽・・・。

ウッドデッキに来た小鳥②
ウッドデッキに来た小鳥①

少し調子が悪いのか、近づいても逃げもせず、微動だにしません。
しばらくすると、少しずつ体の向きを変えたり、頭を動かしたりできているので
様子を伺っていましたところ、いつのまにやら飛んで行ったようで、
ホッとひと安心した次第です。
木々の多いモデルハウスの中庭で、ひと休みしていったのでしょうね。

さて、本日は前回のブログの続きとなります。
断熱改修工事の補助金制度「令和4年度 経済産業省による次世代省エネ建材の実証支援事業」を利用して
9月よりスタートいたしました、三田市のRC断熱改修工事ですが、
実際の交付内容についてご紹介したいと思います。

そもそもRC外断熱の特徴とはどのようなものなのでしょうか?

1.建物の耐用年数が長くなる。自然現象からコンクリート構造体を守る
・温度差による収縮からコンクリートを守る。ひび割れからの漏水を防ぐ。
・コンクリートの中性化と鉄筋の錆を防ぐ。
2.健康的・衛生的な空間を創る。より健康的な住まいが実現する。
・結露及びダニの発生を防ぐ。
・コンクリートのヒートブリッジをなくす
3.快適で省エネルギーな空間を創る。快適かつ人にも地球環境にも優しい
・室温の安定化が図れる。コンクリート蓄熱体の活用
・輻射熱によりじんわり暖か

東邦レオHP「外断熱設計サポートサイト」より引用

などが挙げられます。詳しくは東邦レオHP「外断熱設計サポートサイト」をご参照下さい。
他にも、改修工事は外で行う為、室内を触る必要がなく、家具の移動や仮住まいも不要といった点も
挙げられます。

ただし、注意しておかなければならない点もあります。

まずは、窓からの熱の出入りを考慮した開口部の性能強化が必要です。そして夏の暑さ対策としてガラスの種類日射の遮蔽対策も重要です。
また、壁の外側に断熱材を張るのでバルコニーや庇の出など、凹凸が多い建物の場合は、特にヒートブリッジ(熱橋)に対して断熱補強が必要です。
さらに結露、カビの発生の抑制するためには、室内の空気の循環を促進する換気も考慮する必要があります。
最後に、建物外観においては外側に断熱材を張りますので、コンクリート住宅独特の打ち放しの外装が出来なくなります。

外断熱だけでは上記2、3のメリットは発揮できませんので、建物全体から考える必要がある点に
ご注意ください。

上記の注意点をクリアすれば、非常にメリットが大きい外断熱なのですが、
費用については外装の改修のみの場合と比較すると、約2倍相当となります。
その為、お客様へ価格提示の段階で外断熱改修を断念される方も少なくありません。

このコスト問題を解決してくれるのが今回レポートさせていただいている、
令和4年度次世代省エネ建材の実証支援事業であります。

以下は外断熱改修の補助金対象となるための要件です。

一般社団法人環境共生イニチアブHPより引用⑤

一般社団法人環境共生イニチアブHP 公募要項(一次公募)P.7より引用

補助金の対象となるには、上記の「性能要件」にある、地域(※1)ごとに定められた「外皮平均熱貫流率(※2)」の値を満たしている建物である必要があります。

  • ※1今回の現場がある近畿地方の地域区分は5
  • ※2住宅全体からの熱損失量と天井、壁、床、窓などの外皮合計面積で割った値 

また、「性能要件」を満たす値がクリアできればどんな工事でもいい・・・というのではなく、
上記に必須事項として記載されている「施工要件A)」を満たした工事を実施した上でクリアできていなければなりません。
↓施工要件 A)を簡単に言うと・・・
• 外壁全てを外断熱にすること。内断熱による改修は補助金対象外。
• 既存建物が内断熱仕様の場合、撤去や補修をしてもいいがそれは補助金対象外。
• 既存の建物を壊さずに施工すること。

ただし、「施工要件 A)」だけでは「性能要件」である外皮平均熱貫流率0.60を満たすことができない場合もあります。そこで今度は「施工要件 A)」を満たした上で「施工要件 B)」の工事が必要になってきます。
↓施工要件 B)を簡単に説明すると・・・
• 屋根や床の断熱改修をすること。
• 窓、玄関ドア、勝手口ドアなど、開口部の断熱改修をすること。
• 高効率換気システム、その他対象となる製品を室内側から導入すること。

今回の現場では、上記の施工要件を満たすため下図のように断熱建材を構成しました。

建物性能要件 断熱材の構成

必須の施工要件A)「外壁全てを外断熱にすること」を満たしつつ、
施工要件B)に該当する開口部については・・・
+内窓(既存サッシとの組合せ評価 1.7W/㎡k 樹脂窓PG相当)・・・インプラスなど。
+一部サッシカバー工法
+高性能玄関ドア
+断熱仕様の勝手口ドア

これらをプラスした構成で外皮計算を行い、計算値は0.58<0.6 W/㎡kとなり性能要件を満たしました。

LIXILインプラスカタログページ

リクシル「インプラス」WEBカタログより引用

また、必須要件を満たすことで補助対象となる高効率換気システムも導入。結露やダニの対策も講じました。

Q-hiファン パナソニックカタログより引用

パナソニック 2022-2023.3 換気・送風・環境機器総合カタログより引用

そして最終的な補助金額はというと・・・

一般社団法人環境共生イニチアブHP 引用公募要項(一次公募)P.6より引用

一般社団法人環境共生イニチアブHP 公募要項(一次公募)P.6より引用

【対象となる断熱工事】
・開口部(内窓+カバー工法+高性能玄関ドア、勝手口)の断熱
・屋根、外壁、基礎、床の断熱および熱橋部分の補強
・高性能換気システム(ダクトレス熱交換型)の導入

材料費と工事費を合わせた金額が補助対象経費となり、
今回は合計600万円を超えた為、1/2以内となり、また該当地の地域区分5地域の上限
1住戸あたり300万円
であるため、交付審査の結果、上限額の300万円となりました。

外断熱にかかる費用が大きい分、補助金額も相当の交付額となっており、利用するメリット
は大きいのではないかと思います。

今回、交付を受けることができた現場では、12月上旬の工事完成に向けて現在施工中です。
1月には完成後の建物性能を計測する効果測定も実施していく予定です。
次回は施工についてレポートしてまいります。外断熱工事は実際にどのようなことを行うのか?
ぜひご確認していただければと思います。

前回の記事はこちらから→RC断熱改修には補助金があります~実働6日間!スピード交付体験記~
続きはこちらから→RC断熱改修には補助金があります!~陸屋根の外断熱改修~


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