おかげさまで創業59年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。
本日3/11で2011年に発生した東日本大震災から13年となりました。
今なお、避難生活を続けている方がおられ、復興が思うように進んでいない地域も
あります。改めて犠牲になられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心から
お見舞いを申し上げます。
元旦の能登半島地震を受け、前回1/23のブログでは現在すでにRC住宅のお住まいの方に向けて、
耐震診断についての記事をお届けしました。
今回はこれから中古RC物件を購入しようとお考えの方へ向けて、どのような物件を選べばいいのか、
営業兼技術者の視点でお届けしたいと思います。
3月から4月にかけてのこの時期、新たな生活を始める方も多いかと思います。
これを機に「今年こそは新しい家を持ちたい」「住替えしたい」とお考えの方々にとっては様々な
情報が必要となってきます。
今年中に持ち家、住替えとなると、一つの選択肢として「中古物件の購入」があります。
中古物件は注文建築とは違い、内覧時に建物の実物を体感することができ、
生活スタイルを想像しながら視覚的に良否の判断が非常にしやすいのが利点です。
外観と間取りは維持しながら内装などをリフォームするか、
全面または一部の間取りを変えてリノベーションで個性を表すか、
予算や要望に合わせて計画範囲を決める事が出来ます。
RCギャラリー西宮モデルハウスにご来場の方々は、RC住宅に興味を持って注文建築や
リフォームリノベーションのご相談に来られるのですが、RC住宅を選定した理由として
多く聞かれるのはデザイン性に優れているという点です。
「前からモデルハウスの事を知っていて、外観デザインに惹かれて・・・。」と、その造形美に魅了され、
「格好いい」「おしゃれ」「高級感」溢れる住まいを思い描いて来られます。
また、地震や台風などの自然災害に対し木造住宅等と比較すると、
中古物件であっても長寿命で安心感のある鉄筋コンクリート住宅を選択される方も少なくありません。
RC住宅の構造には2種類あります。
建物の室内外の形状やガレージハウスの間口寸法、駐車可能台数で構造体の種類を判別することが出来ます。
ひとつはラーメン構造です。主要構造部は柱と梁で構成されており、マンションなどの室内外でよく見かける柱型や梁型の凸部がラーメン構造の特徴です。
建築設計デザインにより柱型や梁型がわかりにくく構成されている場合がありますが、広い間口や大きな空間で構成されている建物はラーメン構造が多いです。
※さくら構造株式会社HPより引用
弊社ガレージハウスの建築実例で説明しますと、車3台が並列駐車できて、内部に壁のない空間が構成されている場合はラーメン構造です。ガレージ間口は8~9mあります。
次に壁式構造です。壁、天井、床の6面体がコンクリート耐力壁の構造体で構成され、室内外に凸部がなくスッキリとした空間となります。
※さくら構造株式会社HPより引用
同じく弊社のガレージハウスの建築実例で説明しますと、車2台が並列で駐車が出来るスペースであれば
壁式構造でも可能です。ガレージ間口は6mです。
この規模をラーメン構造で造る場合もありますが、比較的小規模な住宅では壁式構造が多いです。
「RCの構造の2種類の内、どちらが地震に強いの?どちらも鉄筋コンクリートで出来ているので同じでは?」と思われるかもしれませんが、地震時の建物の変形の度合いや揺れ幅については、建築基準法に定める数値を確認すると、建築基準法施行令第82条の2で、「建築物の地上部分について、地震力によって各階に生ずる水平方向の層間変位を国土交通大臣が定める方法により計算し、層間編稀有角の大きさは1/200以内」であることが求められています。つまり、RCのラーメン構造では層間変形角(簡単に言うと建物の変形のしやすさ)を1/200以内で設計されます。
※層間変形角
地震などの横揺れによって住宅などの建築物が変形する時、各階の床と真上または真下の床との、
水平方向における変形の角度
地震時の水平力により層間変形角が1/200の場合、高さ3mの建物に対し15㎜変形する、つまり15㎜の揺れ幅があることになりなります。
壁式構造の場合は層間変形角が1/2000となる為、3mの高さに対し1.5㎜とラーメン構造と比較すると1/10の変形量及び揺れ幅となり、変形しにくい=揺れに耐える構造であることがわかります。
RC住宅に求める性能で耐震性が最優先の場合は壁式構造を選択するほうが良いでしょう。
その他RC住宅に求める性能で遮音性が最優先の場合は壁の厚みの大きい(壁式構造の壁厚は180㎜、ラーメン構造の壁厚は150㎜)壁式構造の方が遮音性に優れます。但し音については窓や扉の開口部からの音の出入りの影響の方が大きいので、開口部の補強も考慮する必要があります。
とにかく間取りの自由度や大きな空間を必要とする場合は、ラーメン構造の方がリノベーションの際に自由度が高く、理想の空間が実現しやすいでしょう。
また、建物が旧耐震基準(1981年・昭和56年以前の構造計算)か新耐震基準(1981年・昭和56年に耐震基準が改正)についても気になるところかと思います。
「1981年以前に建てられた建物は、旧耐震基準で構造計算されているから地震に弱いのでは?築年数が浅い方がいいのでは?」と思うところですが、1981年以前に建てられた建物であっても、設計者の意図により旧耐震基準よりも更に上の基準で構造計算されている建物もある為、一概に1981年以前の建物は全て弱いとは言い切れません。検討したい物件が旧耐震基準の時期に建てられた建物であっても、当時の構造に関する図面や資料などをお持ちいただければ、しっかりした建物なのかどうか確認させていただく事ができます。
以上まとめますと、RC住宅の構造は2種類あり、それぞれの構造の特徴を理解して、ご自身のRC住宅へ求める性能が何かを認識した上で、中古RC物件を選定する事をお勧めします。とはいえ、建物を見ても構造の種類などがわからない場合は、物件を扱っている不動産会社に尋ねると教えてもらえるかと思います。
また、間取りの自由度を求める場合、前述でラーメン構造が向いていると述べましたが、壁式構造であっても木造住宅より大きな空間形成が実現出来ますので、実際の物件の空間を確認し、問題なければ壁式構造を選択されることで間取りの自由度と耐震性能の両方を確保することが出来ます。
そして、1981年以前(旧耐震基準の時期)に建てられた建物であっても、十分な耐震基準を満たしている物件もありますので、確認してみることをお勧めします。
中古物件は情報収集の次に、とにかく実物を内覧することをお勧めします。
その際に様々なアドバイスが必要な場合は、内覧に同行を致しますので、
ぜひお気軽にRCギャラリー西宮へお問い合わせください。
兵庫・大阪で建てる高品質&デザインRC注文住宅。
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