おかげさまで創業58年。私たちは兵庫・宝塚の鉄筋コンクリート技術者集団です。

今年もいよいよ最後の月となりました。
12月に入り、年末年始の準備などで少しずつ気ぜわしくなってまいりました。
忙しいとつい、自分の事は後回しにして、目の前の事に没頭してしまいがちですが、
大事な時に体調を崩さないように、またケガなどしないように、気を付けてお過ごしくださいね。

さて･･･これまで5回に渡り、「令和４年度の次世代省エネ建材の実証支援事業」を利用した
RC住宅の外断熱改修について、補助金の交付から施工完了までをお送りしてまいりました。
（1回目はこちらから）
昨年12月のお引渡しから季節が一巡し、外断熱改修後のRC住宅でひと冬を過ごしていただいた訳ですが、
6回目の本日は「RC外断熱改修の結果、どう変わったのか？」、補助事業の報告要件である
「効果測定」についてお届けしたいと思います。

この効果測定の実施目的は、断熱工事（外断熱工法）にて改修した住宅の性能を検証する事です。
つまり「RC住宅の断熱改修を行った事でどのくらいの性能が確保できるのか？」を数値で判断します。

まずは効果測定の実施概要です。

※環境共創イニシアチブ（SII）HP 令和５年度次世代建材の実証支援事業　事業調査報告2023年9月より引用

「令和4年度次世代省エネ建材の実証支援事業」の「外張り断熱」に申請した補助事業件数は128件で、
そのうちの1件が当社で外断熱改修を行った建物です。

続いて、今回のRC外断熱改修工事を行った建物の効果測定の実施状況です。

【外皮性能要件】
外皮性能とは、外壁、床、屋根、天井、窓、その他開口部分などの外皮の断熱性、気密性、遮音性、
耐久性の性質や能力を数値で表したものです。省エネ基準を達成するために求められる外皮性能の数値は地域によって異なり、全国すべての地域は「1～8」の8つの地域に区分されています。
今回の対象建物は兵庫県三田市に建っていますので、地域区分は5地域に該当し、外皮平均熱貫流率（＝UA値）は0.6 W/㎡･ｋ以下が求められます。設計の結果、外皮平均熱貫流率（＝UA値）は0.58 W/㎡･ｋであり公募性能要件は十分にクリアしております。

※外皮平均熱貫流率（UA値）
住宅の内部から外皮（床、外壁、屋根、天井、窓、その他開口部など）を通過して外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値。

【測定方法】
測定は令和5年1月27日〜1月28日にかけて実施しました。
測定前にエアコンを3時以上可動させ測定時には停止、22時から翌朝7時まで1時間おきに計10回の夜間の室内温度を測定しました。

【測定場所】
室内の温度分布のデーター採取状況です。

測定場所は1階のダイニングキッチンで、計測器を2台設置しました。
設置高さは床より100㎝と10㎝で、暖房設備はルームエアコンで設定温度22℃。
24時間換気の種類は第一種熱交換型ダクトレスタイプを稼働させました。

また、屋外の温度分布データを採取する為、戸外のガレージにも計測器を1台設置します。

測定当日の気候は曇りのち雪でした。
計測器を設置する為に現地へ訪問した時は道路に雪が積もり、車での走行が心配でしたが、
なんとか路面凍結の前に準備が完了しました。（夜中は氷点下でした。）
そして、翌朝に計測器を回収しデータを確認しました。

さて、計測結果は如何に･･･？
設置された3台の計測器から採取されたデータより、効果測定の結果発表です。

※環境共創イニシアチブ（SII）効果測定報告書　定型様式より引用（データ：三和建設にて採取）

計測の結果、エアコンを止めて暖房なしで22時から7時の間の室温低下は
床から100cmの高さで5.5℃、床から10㎝で4.7℃でした。
当日、お施主様は測定器が設置されているダイニングキッチンに隣接するリビングで
ひと晩過ごされて朝を迎えられましたが、特に寒さや不快感はなく、いつも通りでしたとの
ご感想でした。

でも、この効果測定で得られたデータ数値の良し悪しは何を基準に評価すればいいのでしょうか？

次回は、評価を確認するために令和5年9月に公表された「次世代省エネ建材の実証支援事業の事業調査報告」に記載されている、令和3年度と令和4年度の効果測定結果の集計表と比べながら、今回の効果測定結果について検証してみたいと思います。

前回の記事はこちらから→RC断熱改修には補助金があります！～窓の断熱改修と換気システム～
続きはこちらから→RC断熱改修には補助金があります！～効果測定レポートその②